【GPT机翻】战国小町苦劳谭 (戦国小町苦労譚)- 111 [千五百七十三年 十月中旬] 热点在线
书名 战国小町苦劳谭
(资料图)
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作者: 夹竹桃
原作:http://ncode.syosetu.com/n8406bm/
翻译工具:ChatGPT
*机器输出的翻译结果UP未做任何修正,仅供试阅。标题章节号为原翻译版的顺延。*
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千五百七十三年 十月中旬(*原文网页序列号 - 128)
浅井・朝倉家の滅亡から一ヶ月が経過した。その間、信長は目立った行動をしていない。
从浅井·朝仓家的灭亡已经过去一个月了。在此期间,信长没有进行显著的行动。
秀吉と光秀は対立を表面化させつつも、それぞれ信長より任された領地の統治に腐心していた。
秀吉和光秀表面上对立,但他们都在努力管理比信长授予他们的领土。
当初の争点となっていた黒鍬衆は、街道整備より戻った人員を含めて均等割りとし、それぞれに公平に割り当てられることとなった。
一开始争议所在的黑锄部队已经被包括回来的人员在内,平均分配并公平分配。
しかし、秀吉にとっては初の城。自分の威を示すため、また配下の求心力を高めるためにも、早急にかつ坂本城に負けない城を築きたいと意気込んでいた。
然而,对秀吉来说这是他的第一个城。他热衷于建造一座不亚于坂本城并展示自己威力的城池,同时提高下属的忠诚度。
「優先的に資材を回して欲しいって言われても……私の裁量を超えているからなあ」
"即使有人请求优先分配物资......这已超出我的自主权。"
史実では齢62歳で没した秀吉の、30台も後半になって初めて築く城となる長浜城。融通を利かせてあげたいところだが、どちらか一方に肩入れする訳にもいかない。
历史事实上,长滩城将是秀吉62岁离世前所建造的第一个城池。虽然我想给予灵活处理,但不能支持任何一方。
迂闊に便宜を図れば、間違った政治的メッセージとして受け取られかねない。今回に関しては双方が使用する建材の価格を、ギリギリまで抑えることで納得して貰うことにした。
草率地给予特权可能会被视为错误的政治信息。为了使双方相信,他们决定将使用建材的价格尽可能的压低。
「さて、一つ片付いた。次は収穫に関する報告だね」
"现在我们的事情已经处理完毕。接下来是有关丰收的报告。"
「はっ。米に関しては昨年並みの収穫となる見込みです。その他穀物や野菜についても例年並みであり、病害虫の被害も抑えられています。海産物については養殖部門が好調であり、今年初の試(こころ)みとなる鮭は、早くも豊漁との報告が上がっております」
"是,米的产量预计将达到去年的水平。其他谷物和蔬菜的产量也与往年相当,病虫害_DAMAGE_的损失也得到控制。海产品方面,养殖业务表现良好。对于今年的第一次尝试 - 三文鱼,这已经是一个丰收的开始了。”
「そっか。鮭の稚魚を沢山放流したから、その成果が出ているんだね。でも鮭の回帰率(放流した鮭が戻ってくる割合)は低いから、せめて1パーセントぐらい戻ってきてくれると良いんだけどね」
"这么说来,我们放了很多鲑鱼苗,所以才有这样的成果。但是,鲑鱼的回归率(放生的鲑鱼回到家的比例)很低,希望至少有1%的回归率会更好。"
鮭は一回の産卵で3000程の卵を産む。全ての過程を自然に委ねた場合、無事に成魚となって川へ戻ってくるのは数匹程度になってしまう。
鲑鱼一次产卵可达3000余粒。若全部遵循自然过程,能成为成鱼并回归河流的只有数条左右。
天然産卵の場合は、まず孵化出来る確率からして4割を切ることが多い。無事に稚魚になれたとしても、成長過程の淘汰により数を減らし、最終的に親となれる個体は恐ろしく少ない。
在自然产卵的情况下,能成功孵化的几率通常不到40%。即便能成为仔鱼,成长过程中淘汰造成的减少会使得能成为亲鱼的数量非常有限。
しかし、人工孵化を行う場合は孵化率を95パーセント近くまで引き上げる事が出来、天敵のいない環境で成長出来るため、回帰率を大きく引き上げることが出来るのだ。
然而,通过人工孵化可将孵化率提高至近95%以下,仍能在没有天敌的环境中成长,从而显著提高回归率。
天然産卵の鮭は回帰率が0.5パーセント程なのに対して、人工孵化を行った場合の回帰率は条件次第で4から6パーセントにもなる。
天然产卵的鲑鱼回归率大约只有0.5%,而通过人工孵化条件不同,回归率可达到4~6%之间。
「いちぱーせんと、ですか?」
“是百分之几吗?”
「百に一つって事だよ。自然ってのは弱肉強食だよね。もっと多く帰ってきて貰うためにも、来年度の放流数は更に増やすよ。遡上してきた鮭は捕獲して、どんどん人工授精させてね」
“正是这个意思。自然界很是残酷。为了让更多的鲑鱼回归,明年放流的数量还要继续增加。捕猎回流的鲑鱼,多进行人工授精。”
「は、はい」
“是,明白了。”
百分率を表すパーセントと言う耳慣れない言葉に不思議そうな表情を浮かべていた蕭だが、静子の指示を受けて思いを新たにする。
刚才还对“百分率”这个耳熟能详的词汇感到奇怪,受到静子指示后蕭心情重新振作。
静子は満足していない様子だが、興奮気味に漁獲量を語る報告を受けた蕭は、静子が見据える先の遥かさに戦慄した。
尽管静子看起来并不满意,但听到蕭兴奋地报告渔获量,静子所看向的远方却使她颤抖不已。
今年の鮭の遡上量は文字通り桁違いなのだが、静子にとってはそれすらも通過点に過ぎないのだ。
今年的鲑鱼遡上数量确实是惊人的,但对静子而言,这仅是一个过渡点。
静子が満足する結果を思い浮かべようとした蕭は、川から鮭が溢れそうになるという悍(おぞ)ましい光景が脳裏を過り、身震いした。
蕭试图想象出静子会满意的结果,但脑海中浮现出鲑鱼川流不息几乎泛滥的可怖景象,使他直发抖。
「鮭の豊漁を聞いて、耳聡い商人たちが集まっているみたいだね。近衛様の関白就任もあるから、相当数を流通させずに確保しないといけないし、どの程度を市場に流すかが悩みどころだね」
听说鲑鱼大丰收,聪明的商人们聚集在一起。近卫大人成为关白也需要确保不流通过多,所以市场流通的程度是一个问题。
「鮭はさておき、例年通り農産物が続々と集まってきております。領地からの税収もあるのですが、それ以上に民から感謝の印として献上されています」
先不提鲑鱼,农产品正像往常一样陆续集中过来。虽然有来自领地的税收,但更多的是被居民作为感谢的献礼。
「うーん……五穀豊穣のお礼らしいけど、うちは神社じゃないからねえ。皆の好意だから無下にする訳にもいかないね」
嗯……虽然是对丰收的回报,但我们并不是神社啊。因为这是大家的好意,所以不能冷落。
「では、今年も収穫祭での振る舞いとして放出致しましょう」
那么,今年也把它当做收获祭上的食物来提供吧。
その他にも細々とした報告をすると、蕭は一礼して去っていった。今年も見込み以上の収穫があり、民が飢えるような状況は回避出来ている。
剩下的细节报告结束后,萧鞠一礼告辞。今年的收成超出预期,避免了民众饥饿的情况。
不測の事態に備えて、随所に備蓄米を集積しているため、流通が遮断されるような大災害にもある程度対応できる見込みだ。
为了应对不可预见的情况,各地都积累了储蓄米,使得在大型灾害中流通得到一定程度的应对。
「折角の収穫期だし、色々と買い込んでくるかな。試してみたい料理もあるし」
" 这么好的收成季节,应该去买些东西吧。还有一些想尝试的料理。”
秋と言えば、天高く馬肥ゆる秋との言葉があるように、食材が豊富な季節である。従来であれば、厳しい冬へ備えるため、質素倹約を強いられて兵の士気も低くなりがちであった。
对于当时来说,秋天食材丰富为一季。在以往,为了迎接严寒的冬季,节俭也是必要的,往往会导致士兵的士气低下。
早くから兵農分離を推し進め、職業軍人を多く抱える織田軍への影響は軽微であるが、多くの国にとって冬支度は死活問題となる。
虽然进行了早期的军民分离,并且织田军队拥有大量的职业军人,但对许多国家来说,为冬季做准备是生死攸关的问题。
尾張に於いても小規模農家などは懐事情が厳しくなるため、少しでも利益を還元すべく静子は秋口に色々な料理を試すことにしていた。
在小规模农户的财政状况变得困难的尾张地区,静子为了尽可能地回报一些利润,决定在秋天试着做一些新菜肴。
「彩ちゃーん、お金出してー」
“彩,出点钱吧。”
「……ああ、もうそんな時期でしたね。承知しました」
"……啊,又到了那个时期了。我知道了。"
静子は金庫番を自認する彩に金子を催促する。壁に掛けられた暦を確認しつつ彩が応じ、金銭や物品の出納を管理する出納簿をめくる。
静子向自认为金库管理员的彩催促交出金子,彩检查挂在墙上的日历后答应,并翻看管理收支的账簿。
予算の計上から出金までを彩に頼んだあと、静子は馬廻衆に声を掛けた。
预算编制到付款出纳全交给了彩后,静子招呼着随从们。
才蔵は常に控えているため問題ないが、慶次の姿が見当たらないため、長可に行方を訊ねると「朝早くから出て行った」と聞き、諦めることにした。
才藏一向保持低调,没有问题,但是找不到惠次的身影。询问长可,得知他“早上就出去了”,于是就作罢了。
「さて、それじゃあ目新しい食材を探しに出発だ」
"那么,我们出发找新的食材吧。"
意気揚々と号令を掛け、静子は才蔵と兵を伴って港街へと出発した。
静子振奋精神地号令起来,才藏和士兵们陪同下动身前往海港区。
静子が目指す港街には、本願寺の人間が入り込んでいた。彼の名は下間(しもつま)頼廉(らいれん)。優れた武将であると同時に名うての政治家でもあった。
静子目的地的海港区,有本愿寺的人进入了这个地方。他的名字是下间依廉。除了是一位出色的武将,也是闻名的政治家。
本願寺の重要人物でもある彼が、直接潜入しているのには理由があった。以前から静子の動向を探るべく、間者を放って情報を集めていたのだが、一向に成果が上がらない。
他是本愿寺的重要人物,直接秘密潜入这里也有他的理由。他一直派间谍收集静子的情报,但毫无进展。
間者の潜入自体は成功するのだが、得られる報告は精彩を欠いていた。幾度も人員を入れ替えたが、状況が改善しないため、業を煮やして自ら乗り込んできたのだ。
谍报人员潜入是成功的,但是得到的报告缺乏精彩的内容。因为状况没有任何改善,多次更换人员后,他终于忍不住亲自前来。
(この街は危険すぎる)
(这个城市太危险了)
頼廉は静子が管理する街を回り、間者たちが情報を持ち帰れなかった理由を知った。
依廉走遍静子管理的城市,了解到间谍们无法带回情报的原因。
(この街の生活は毒だ。清潔かつ快適であり自由だ。この状況に慣れた者が危機感を持ち続けることなど不可能だ。ましてや楽を覚えた人間が、その生活を捨てられるはずもなし)
(这里的生活方式已经成了毒瘤。这里既清洁舒适又自由,习惯了这种状况的人不可能有危机感。更别说习惯了这种生活的人会舍弃它自寻出路。)
間者として街に住み、腰を据えて活動すればするほど快適な環境という毒が精神を蝕む。人・物・金が集まり、活気に満ち溢れている港街では、働き口も多く、食うに困ることは無い。
作为间谍居住在城市,并且在那里定居工作,舒适的环境会渐渐腐蚀他的精神。在一个有人、有物、有钱的繁华港口城市,工作机会也很多,生存并不艰难。
爪に火を点すような一向宗の生活に戻れようはずがない。可能な限り滞在を引き延ばし、快適な生活を維持しようとする。その結果、頼廉の許には碌な情報が集まらない。
他无法回到信仰一向宗的古老生活。他尽可能地留下来,维持舒适的生活。结果是,他没有收集到什么有用情报。他被开除的间谍,断了联系,也是这个原因。
担当から外した間者が、その後連絡を絶った理由もこれではっきりした。頼廉ですら僅か数日の滞在で決意が鈍るほどなのだから、他の者ならば推して知るべしだろう。
如果即使是颜廉只呆了几天时间,就会变得软弱无力,那么其他人也不会好到哪里去。
苦難に耐えることは出来ても、快楽を断つことは難しい。早く調査を終えて、国許に帰らねばならない。そう思った頼廉の目に、異様な人だかりが飛び込んできた。
尽管他能够忍受困境,但拒绝快乐却很难。他想要尽快完成调查,回到国内。这时,一个奇怪的人群出现在他的视野中。
「ご覧下せえ! 今朝上がったばかりの大物です。見た事も無い魚でやしょう?」
"请看!这是今天早晨捕获的巨大鱼类。是您从未见过的品种呢!"
「朝採りの野菜が入ってますよー!」
"这里有新鲜的早市蔬菜哦!"
「山の幸ならうちが一番よ!」
"我们这里的山珍海味最好了!"
大賑わいを見せる人だかりに近づくにつれ、彼らの掛け声が頼廉の耳にも届いた。誰かに売り込みをしていることは理解出来たが、それにしては売り手の人数が多すぎる。
随着人群的聚集,他们的吆喝声传到了颜廉的耳中。尽管他们正在向某个人推销他们的产品,但卖家的数量太多了。
「もし、これは一体何の催しでしょうか?」
"这是什么活动呢?"
既に商いが済んだのか、離れた位置で荷物を纏めていた商人に頼廉は声を掛けた。
商人们已经完成交易了,正在离开的位置打包货物。颜廉走过去询问。
僧形の頼廉に声を掛けられ酷く驚いた商人だったが、質素な身なりに好感を覚えたのか快く教えてくれた。
那个商人被僧侣颜廉的出现惊呆了,但他喜欢颜廉朴素的穿着,愿意热情地解答颜廉的问题。
「この街じゃあ毎年恒例の行事さ。この時期になると静子様が連日大金を持ってお越しになって、色々なものを大量に買い付けていかれるんだよ」
"这座城市每年都有一项传统活动。在这个时候,静子女士会连续带着大量的钞票前来,购买各种各样的物品。"
「ほう……さぞや名のある御大尽なのでしょうね」
"哦,一定是有名的富豪吧。"
「まあ、飛び交う金子の桁が違うから御大尽には違いねえな。でもな、それだけじゃあないんだよ? ここで取引されたもんは、暫くすると面白いモンになって戻ってくるんだよ」
"嗯,从流通的金额来看确实如此,但不只是这样。在这里交易的物品会过一段时间后变成有趣的物品再次出现。"
「いかように?」
"是什么样的?"
「お坊さん、この街は初めてかい? なら、ここから少し離れたところに大きな街があるのは知ってるかい?」
"这是你第一次来这个城市吗?离这里稍远的地方有一个大城市,你知道吗?"
商人の問いに頼廉は頷いた。港街に来る前に通った、中継地となる大きな街だろうと推察する。
商人的问题得到了頼廉的点头。这很可能是一个中转站,在来港口之前经过的大城市。
「なら話は早い。あそこは静子様のお膝元、ここで買ったものを使って色々な料理をお試しになる。その料理の作り方が、各街の料理屋達に公表されるんだ。漬物なんかの保存食から、大店(おおだな)の旦那が召し上がるような高級料理まで、手広く教えて頂けるんだからありがたい。ようするにお買い上げ頂いた品物は、後日飛ぶように売れること間違いなしなのさ」
"那就简单了。静子女士会在那里试用她在这里购买的物品做各种不同的菜肴。这些菜谱会被公布在每个城市的餐厅里。从保存食品像泡菜到高档餐厅的菜肴,她们会大方地传授她们的技巧。你可以肯定,购买的物品后续销售一定很快。"
「なるほど……料理?」
"我明白了……菜肴?"
「そうよ。この港街でも、ここから東に少し行くと、料理屋通りがあるから行ってみな? お膝元ほどじゃあないが、美味い料理が揃ってるぜ。海のもんに限りゃ、ここが一番よ。おっと、そろそろ戻って仕入れないと商機を逃がすってもんだ、お坊さんも気を付けてな」
"对的。如果你从这里向东走一点,可以找到美食街。虽然没有那么正宗,但有许多美味的菜肴。海鲜是最好的食材。好了,我得回去了,如果不及时进货,商机就会消失。和尚,你也要小心。"
人だかりが捌けてきた頃合いを見計らった商人は、言うだけ言うと頼廉の返事を待たずに去っていった。
商人等人散去,就离开了这里。
慌ただしく話を打ち切られたが、それでも多くの収穫があった。料理屋についてはひとまず後に回し、静子の行動を観察しようと様子を窺う。
尽管急促地结束了谈话,但仍有很多收获。暂时搁置餐厅的事情,观察静子的行动并等待变化。
目に見えて人だかりが少なくなり、大商いが出来たのか上機嫌な商人が多く見える。
人群明显减少,看起来生意好的商人心情很好。
(これほどの人数から定期的に買い付けをするとは……中々に羽振りが良さそうだ)
(竟然能从如此多的人中定期购买……看来财力相当雄厚啊。)
人だかりは消えたが、静子達が立ち去る様子は無い。出物や大物をゆっくりと待つつもりなのだろう、その様子から潤沢な資金があることが窺えた。
人群已经散去,但静子他们似乎没有离开。他们打算等待一些好的或大的商品,从他们的行动中可以看出有丰富的资金。
(織田の異様な隆盛も、彼奴(きゃつ)の存在あってのことか。幾度も大盤振る舞いをしても尽きぬ財を、如何にして集めるというのか)
(織田的奇怪繁荣,也是因为他这样的存在吗?不断做大肆的挥霍,如何聚集财富呢?)
静子の底知れぬ財力の源泉について頼廉は思いを巡らせる。何気なく見やった店先の絵皿、その見事な大輪を見て彼は天啓を得た。
頼廉想到了静子底蕴深厚的财力来源。他无意中看到了商店里的大盘子和它华美的花朵,他得到了启示。
(そうか! 奴は己の所領だけではなく、尾張一円全体を繁栄させたのだ!)
(原来如此!他不仅让他的领地繁荣,也让尾张一带繁荣起来!)
そこに気が付けば、今までは別個の点でしか見えなかったものが、線を結び、像となって浮かび上がってくる。
注意到这一点后,之前看到的点开始联系起来,成为一个整体。
戦国時代における富とは、豊かな他者の土地を奪うことにある。今ある物をより豊かにするには時間も金もかかり過ぎる。
战国时代的财富就等同于得到别人土地上的财富。想要让现有的东西更加丰富需要花费大量时间和金钱。
その点、他者の富を奪う方法は、いくさという博打を経て、勝てば即座に巨万の富を得ることが出来た。
同时,抢夺别人的财富是一场冒险,胜利后就可以立即获得巨额财富。
今や尾張の価値は綺羅星の如く高まり、放っておいても人や物、金が集まってくる。
现在尾张的价值已像群星般飞涨,自然会吸引人才、物资和金钱等,不需要封锁織田的经济。
尾張一国だけでも、恐ろしい量の物を生み出し続けるのだ、織田の経済を封鎖するなど、夢物語に過ぎないと頼廉は悟った。
即使仅仅是尾张一国,也会不断地创造出大量的物品,阻碍織田的经济发展只不过是一场白日梦,頼廉悟到了这一点。
(点であれば押さえ込めもしよう。無数の点を繋ぎ合わせた面を相手に、少しぐらいの点を潰したところで他の点がそれを補ってしまう。主要な街道を封鎖しようにも、織田領を通る全ての道を封鎖するなど現実的ではない)
(如果只是点的话还可以压制。但是对于由无数点连接而成的面对手,稍微压缩一点也会被其他点补偿。封锁主要的街道也不现实,因为要封锁織田领内所有的道路)
自分達が現状を如何に都合よく捻じ曲げて認識していたかを突き付けられた。今となっては織田を囲い込むことなど不可能だ。
我们被迫意识到如何扭曲我们自己的现状。现在围堵織田已经不可能了。
反織田勢力が一致団結して死に物狂いで抵抗すれば可能性もあろうが、寄り合い所帯に団結など望むべくもない。
反对織田的力量即使团结一致并且拼死一搏,也无法期望集结在一起。
(遅きに失した。今更静子を調べても意味がない。もう既に奴がおらずとも繁栄する仕組みが出来上がっている。それでも静子を仕留めれば少しの猶予は得られようが、その為に必要となる犠牲が大きすぎる)
(太晚了。现在调查静子也没有意义了。已经建立起繁荣的体系,即使没有她也一样。但是如果能杀掉静子,还可以得到一点时间,但为此必须付出巨大的代价)
全てが遅すぎた。最初の織田包囲時に、どれほど犠牲を出そうとも多方面から同時に攻撃を加えられていればと、今更ながらに悔やんだ。
所有事都太晚了。在第一次围攻織田时,即使我们必须付出多少牺牲,在各个方面同时攻击織田的话,现在感到十分后悔。
(上杉が織田に屈したのも、もはや巻き返しが利かぬと悟り、次の最善手を模索した結果。か)
(上杉向織田屈服,已经意识到再也无法卷土重来,寻找下一步最好的策略。)
被り続けていた深編笠で顔を隠すようにして、頼廉は己の行く末を憂いつつ立ち去った。
頼廉低头带着一直遮着脸的深色笠子,忧心忡忡地离开了。
頼廉が気落ちしつつ立ち去った頃、静子は買い付けた目録と予算を突き合わせながら周囲に告げた。
在頼廉沮丧离开后,静子将她购买的目录和预算与周围的人比对了一下。
「追わなくて良いよ」
「不用追了。」
静子を護衛する才蔵は勿論、兵たちも怪しげな僧形の男に気付いていた。頼廉だと見抜いたのではなく、本願寺の間者であろうと当たりを付けていた。
护卫静子的才藏当然注意到了,士兵们也注意到了一个可疑的僧侣形状的男人。他们并不是识破了頼廉的身份,而是猜测他们是本願寺派遣的密探。
そんな彼らをして、静子は追跡不要と告げた。周囲が訝(いぶか)しむのも無理はない、自身の危機管理という一点について静子の信用は低い。
这样的他们,静子告诉他们不需要追踪。周围的人怀疑也无可厚非,静子关于自身危机管理的信任度很低。
「いや、あんなに露骨だと流石の私でも気付くよ。あの様子だと、成果が上がらないから現場を見に来た上役ってところだろうし、自分で見聞きした内容を持ち帰って貰った方が、内部の士気が下がるかもしれないしね」
"不,即使是我也会注意到那么明显的事情。那样的话,上级来考察现场就很有可能导致内部士气下降,最好让他们亲自去看到听到的内容。"
「承知しました。しかし、御身には十分ご注意下さいませ」
"明白了,但是务必多加小心。"
「判りました。さて、買い物を続けましょう」
"明白了。那么,我们继续购物吧。"
才蔵の忠告を素直に受け取ったあと、静子は港街での買い物を続けた。
接受了才藏的忠告后,静子继续在港口购物。
大口の買い物以外は、現物と現金でやり取りするため、ある程度荷物が溜まると、荷運びを雇って順次静子邸へと運ばせていた。
除了大批量的购物外,其他货品是以实物和现金交易,一旦积累了一定数量的行李,就雇佣人员搬运到静子的家中。
これが数日続くのだから、商人たちが商機と意気込むのも無理はない。頃合いを見計らって静子は帰宅した。
这种情况持续了几天,商人们也无可厚非地感到商机。静子在看准机会后回到家中。
静子邸では、みつおや五郎が静子達に先駆けて運ばれてきていた食材を前に唸っていた。
在静子的家中,光靠旺盛的食欲对待积攒的食品的三藏和五郎都吃得欲罢不能。
厨(くりや)では四郎が下ごしらえなどの雑用をこなしていたが、静子は面識がないため新しい下男だと認識していた。
四郎在厨房里忙碌着做零碎的杂事,但是静子并不知道他,因此认为他是新来的下人。
「これだけ新鮮な食材を集められるってのは凄いな……財力だけじゃ無理だからなあ。でも、これだけあると何から使ったものか悩むよな」
"嗯,能收集到这么新鲜的食材真是太厉害了……单靠财力可不行啊。但是,这么多东西,不知道从哪里入手更好呢?
「だな。しかし、それをどう料理するかが腕の見せどころよ」
"没错。但是,如何做菜才是关键哦。"
「いえ……味見役が……その……。あまり挑戦的な料理は避けるべきかと……」
"不……尝试性的菜肴……那个……最好还是避免为好吧……"
みつおの言葉に居並ぶ味見役を盗み見る。
站在三藏旁边,偷偷看味道的品尝员说话。
隣の座敷では信長を筆頭に、信忠など織田一族。柴田勝家や竹中半兵衛など、都合のついた織田家家臣たちに加え、少し離れた手前側の席には兼続や景勝など上杉家の者も並ぶ。
(1)在隔壁房间中,以信长为首,信忠等織田一族。除了織田家的家臣们,如柴田胜家和竹中半兵卫等能出席的人,稍微靠前的席位上也有上杉家的人,如兼续和景胜。
試食会への参加を切望していた家康は、あいにく都合がつかなかったが、次回も必ず声を掛けてくれと懇願していた。
(2)家康非常希望参加品尝会,但因事务繁忙而无法腾出时间,他恳求下次一定要邀请他。
更に身内枠として京に向かったはずの前久が座しており、試食会に参加するためだけにとんぼ返りを実行していた。ちゃっかり家司の進藤長治も隣に並ぶ。
(3)此外,原本前久确实前往京都,但他此时坐在那里,不顾一切为参加品尝会而匆匆返回。家臣进藤长治也偷偷地坐在旁边。
同じく身内の長可や慶次など、静子の家臣たちがこの機会を逃そうはずもない。
(4)还有静子的家臣们,如长可和慶次,他们绝不会错过这个机会。
「明らかに失敗が許されない面々だよな」
(5)“显然这些人是不能容忍失败的人啊。”
「食い意地の張った御仁たちだ……仕方ない。死力を振り絞るか!」
(6)“这些人是贪食的人……没办法,尽全力吧!”
決死の覚悟で意気込む彼らに、空気を読まない静子が食材を運んできた。
(7)他们以决死的决心激励自己,此时静子拿了食材过来。
「調子はどう?」
(8)“情况怎样?”
また新たな食材が追加されたと、みつおたちがげんなりしているのを他所に、静子はおがくずが詰まった箱から中身を取り出した。
(9)静子从一个装满鱼鳞的箱子里取出了里面的东西,而此时他们都感到无比疲倦。忍不住地,静子不断把新的食材放在桌上。
「完全に凍り付いていたから、氷室から出して結構経ってるんだけど半解凍にもなってないねえ」
(10)“完全冰冻了,从冰库里拿出来已经有一段时间了,但它根本没有解冻。”
静子が運んできたもの、それは戻り鮭を活け締めして、内臓を取った後に冷凍しておいた生鮭だ。
(11)静子带来的东西是把返鲑活鱼放血取出内脏后冷冻起来的生鱼。
寄生虫の感染リスクを避けるため、長期間冷凍しており、その中からいくつか見繕って解凍している。
(12)为了避免感染寄生虫,它们被冷冻了很长时间,这些都是从中挑选的并解冻的。
現代では当たり前に食卓に並ぶ生鮭だが、戦国時代に於いては限られたものしか口に出来ない高級品となる。
(13)在现代,生鱼普遍出现在餐桌上,但在战国时代,它只是一种高级的、极为珍罕的食物。
冷凍技術や輸送技術が発達していないため、如何に金子を積もうとも、旬の時期と立地を兼ね備えた領地でしか手に入らない逸品だった。
由于冷冻技术和运输技术的不发达,在任何金子的积累下,只有在季节适宜且位置优越的领地才能得到这种珍品。
五郎が頭を持ってぶら下げ、解凍具合を確認していると味見役の席から喚声が上がった。
五郎挂着头检查解冻状态时,品尝师的座位上传来喊声。
旬の戻り鮭であり、これほど大型の物となると国人であってもそうそうお目に掛かれない。
它是时令回归鲑鱼,这样大的物品,即使是国人也不容易遇见。
「……足満のおっさんがやってたアレ、出してみるか?」
“......足满的老先生做的那个,拿出来试试吧?”
「ああ、冷たさと食感が面白い料理だったな。受けるかもしれない」
“啊,那是冷的感觉和口感都有趣的菜肴。可能会很受欢迎。”
「不評を避けるためにも定番料理も出しましょうよ! 鮭のムニエルに粕汁……あ! 『はらこ飯』なんかどうです?」
“为了避免不受欢迎,我们还是要提供一些经典菜肴吧!三文鱼蘑菇煎饼......哦!还有什锦三文鱼饭怎么样?”
「イクラの醤油漬けはあったかな? よし、鮭尽くしにしてみようか」
“三文鱼鱼子酱腌制在酱油里呢?好的,让我们试试看全是三文鱼吧。”
鮭を中心に野菜や調味料の入った箱をひっくり返しながら、みつおたちが意見を交わしている。すっかり静子の存在を忘れているようなので、彼女は苦笑しつつも自分の席に着いた。
在翻转装有三文鱼、蔬菜和调味料的盒子时,光大和其他人交换意见。由于她们完全忘记了静子的存在,因此她只能默默地坐回了座位。
「どんな料理が出てくるかな」
“会出现什么菜呢?”
その場にいる全員の心情を代弁するかのように、静子は頬杖をつきながら呟いた。
静子一边顶着脸颊一边低声嘟囔,仿佛代表在场所有人的心情。
「お待たせしました。鮭の炊き込みご飯である『はらこ飯』、鮭のムニエル、鮭のルイペ(融けた食べ物という意味のアイヌ語、半解凍状態の刺身)、鮭皮の焼き作りと鮭の粕汁です」
“久等了。这里有三文鱼煮饭“哈拉可饭”,三文鱼蘑菇煎饼,三文鱼半冻刺身“鲁伊佩”,三文鱼皮烤制和三文鱼什锦米汤。”
味見役の前に並んだ料理は鮭尽くしの名に相応しいメニューであった。
品尝师面前的菜肴应该都适合名副其实的“全是三文鱼”的菜单。
大好評のうちに終わった試食会から更に一ヶ月が経過した。本格的に冬が始まると思った頃に足満が越後より帰還した。予想外の人物を伴って。
在得到好评的试吃会结束后的一个月,从足满回归越后开始真正的冬天。这是一个意外的人物。
「うん、真田家一党は予想していたけれど、どうして上杉家まで?」
“是啊,我们本来就预料到真田家族会出逃,但是为什么连上杉家族也会一起出走呢?”
東国の事情を知っているだけに、真田昌幸が上杉を頼って出奔する可能性があると予想はしていたが、上杉謙信まで同道してくるとは想定していなかった。
“因为了解了东国的情况,我们预料到真田昌幸可能会投奔上杉家族,但没有想到连上杉謙信也会一同前来。”
前回の対面時とは異なり、今回は若干の敵愾心(てきがいしん)が感じられた。事情が呑み込めないので、静子は足満だけを呼び止めて詳細を訊ねた。
“这次与上次见面时不同,我感觉到了某种敌意。因为无法理解事情的来龙去脉,静子拦住了足满,询问了详细情况。”
「……五虎退(ごこたい)の譲渡は構わぬが、禁酒令に近い酒量制限などもっての外と言う事らしい。ここは一つ、呑み比べをして勝ったら、わしから静子に執り成してやると言ったのだ」
“……虽然譲渡五虎退我们不在意,但是他们说连酒量也要限制,这简直是禁酒令。于是我们决定用喝酒比赛来解决,如果我们赢了,那我就会把五虎退交给静子。”
五虎退とは謙信が永禄二年に上洛した際、正親町(おおぎまち)天皇より賜った粟田口吉光作の短刀だ。遣明使の役人がこれを用いて五頭の虎を追い払ったとの逸話があり、それが号の由来と言われている。
“五虎退是上杉謙信在永禄二年上洛时,由正亲町天皇赐予的粟田口吉光所制作的短刀。传说中,印象使的官员们用它赶走了五只老虎,于是就以此命名为五虎退。”
「禁酒に反発されるとは予想していたけれど、呑み比べで決着を付けるってのはどうかと思う。お酒を控えることが健康に繋がるって伝えてくれた?」
“虽然预料到他们会对禁酒令有所反感,但是用喝酒比赛来解决问题是否合适呢?他们知道适量饮酒对健康有好处吗?”
「酒の量を減らせと言っただけで、聞く耳を持とうともせん。意固地な奴よ」
“他们根本就不听我的话,拒绝减少饮酒量。真是执迷不悟的家伙。”
そう言いつつも足満は静子から視線を逸らした。勘の良い静子は、その仕草から足満が敢えてそれ以上の説得をしようとしなかったと察した。
尽管这样说,足满还是避开了静子的目光。敏锐的静子从他的举止中察觉到他故意不再劝说他们。
上杉謙信と言えば、三合入りの『馬上盃(ばじょうはい)』を愛用する程の大酒豪だ。その酒好きが徒(あだ)となり、高血圧性脳出血を引き起こし、49才という若さでこの世を去った。
上杉謙信因酗酒导致高血压性脑出血,去世时只有49岁。他极度喜欢喝酒,甚至拥有一个三合酒杯的“马上杯”。
一説によると謙信は40才の時にも軽い脳出血を起こし、左足に後遺症が残っていたと言われている。その事を知っていた静子は、謙信の足を注視していた。
有说著信在40岁时曾经轻微的脑出血,导致左脚留下后遗症。知道这个情况的静子一直在注视着著信的脚。
若干引きずるような仕草をしており、足も浮腫(むく)んでいた。時折あちこちを掻いているため、全身にかゆみが出ているのだろう。
他有些拖着脚的姿势,并且脚部也肿胀了。由于时不时地抓来抓去,全身都感到很痒。
現代で作成していた黒歴史ノートには、謙信を味方に引き入れた際のアルコール依存症対策をいろいろ調べたため、ある程度の対策は出来ると考えていた。
在现代制作的黑历史笔记中,由于调查了让著信成为同伴后的酒精依赖症治疗方法,因此认为应该能够进行一定的治疗方法。
脳出血の直接的原因は高血圧であり、静子はまず高血圧対策に取り掛かろうと考えていた。高血圧の要因は運動不足にアルコールや塩分の過剰摂取が考えられる。
脑出血的直接原因是高血压,静子首先考虑的是高血压的对策。高血压的原因可能是缺乏运动,过度摄取酒精和盐分。
戦国時代の人間が運動不足になるとは思えないため、問題は食生活とアルコールだと静子は判断していた。
由于不能想象战国时代的人们缺乏运动,所以静子认为问题在于饮食和酒精。
皮肉にも謙信の足満に対する態度が、彼のアルコール依存症を浮き彫りにしていた。
讽刺的是,著信对于脚部溃烂的态度,在某种程度上凸显了他的酒精依赖症。
(アルコール依存症の人って、飲酒の害から目をそらすのよね。攻撃的になる事も依存症の心理に当てはまるし、これはいよいよ強制力を持たせた治療に取り掛からないと駄目かな)
(有酒精依赖症的人,会回避饮酒的危害。攻击性的行为也符合依赖心理的特点,必须采取有强制力的治疗方法。)
史実通りに謙信が死ねば、家督争いから『御館(おたて)の乱』に発展するのは明らかだ。
根据历史记录,如果著信去世,继承权之争会升级为“御馆之乱”。
それを理由に上杉家に介入することも考えられるが、東国の抑えとして謙信には健在でいて貰わねば困る。
可以考虑干预上杉家的情况,但作为控制东国的据点,著信必须保持健康。
謙信には健康で長生きをして貰い、その間に武田や北条、最上などの中部・関東、東北にかけての国人を掌握する。
著信应该保持健康并长命百岁,在此期间掌握中部、关东和东北地区,如武田、北条和最上等国人。
ここまで持ち込めれば、上杉家の家督争いがどちらに転ぼうと対処ができる。
如果能做到这一点,无论上杉家的家督争夺以哪方胜出,都能处理。
「……仕方ないか。自分が言い出した勝負で負ければ言い逃れも出来ないよね。今回の暴飲は必要経費と割り切りましょう」
"......没办法。如果在自己提出的赌局中失败,就无法推托了。这次的狂饮就算是必要开支吧。"
「奴は誓紙を認(したた)めておる。信仰心に掛けても約束を違(たが)えることは無いだろう。何、相手はみつおだ。あいつが出禁になった飲み放題の居酒屋は数知れない」
"他已经签署了誓词。以他的信仰心,不可能违背诺言。对手是光男,那家伙已经被禁止进入无数暴饮的居酒屋了。"
「無茶をしそうになったら止めてね。これで肝硬変や脳梗塞になったら元も子もないから」
"要是他看起来要做什么莫名其妙的事情就制止他。如果他因此患上肝硬化或脑梗塞,情况就很糟糕了。"
「心得ている」
"我明白了。"
静子は訝し気な視線を足満に向ける。若干挙動不審になった足満だが、腰に佩いた刀の柄に手を掛けた。いざとなれば力づくで止めるという事だろう。
静子带着怀疑的目光看向足满。足满有些举止怪异,但是把手放在腰上带的刀柄上。这是说,如果必要的话,就会用武力制止他。
少し呆れたが、仕方ないと割り切ると静子は奥に向かって声を掛けた。
有些惊呆了,但也没有办法,静子对着里面喊道。
「蕭ちゃん、みつおさんを連れてきて」
"小萧,把光男带过来。"
純粋に一対一の呑み比べにしようとしていた静子だが、ふとある考えが浮かんだ。直接対決するよりも、チーム戦にしてしまった方が負担も少ないのではと思い立ったのだ。
虽然静子一开始只想要一对一的饮酒比赛,但她突然想到一个想法。与其直接对决,还不如让它变成团队战,这样负担会更小。
踵を返しかけた蕭を捉まえて、慶次や才蔵、長可も呼んでくるよう命じた。
她抓住了正要回去的萧,命令他带来庆次、才藏和长可。
「君たち、天下にその人ありと言われる酒豪になってみたいと思わない?」
"你们不想成为说到全国都知道的饮酒高手吗?"
こうして尾張チームと越後チームによる呑み比べが勃発した。次々と樽が開けられ、アルコール臭漂う会場から早々に退散した静子は、翌日に優勝者から直接結果を聞いた。
就这样,尾张队和越后队之间的饮酒比赛开始了。酒桶接连开启,酒香弥漫的场所很快就散场了。静子直接从冠军那里听到了第二天的结果。
尾張や美濃、越後の威信を掛けた酒豪たちによる呑み比べ、夜が明けた時に立っていたのはみつお一人だけであった。
在以尾张、美濃、越后的威信为荣的喝酒高手们的比赛中,当天清晨站着的只有三夫一个人。
呑み比べで消費された酒の量を思うと頭が痛かったが、静子は謙信が約束通り酒を断つ決意表明として『馬上盃』を割った事を知って喜んだ。
想起喝酒比赛中喝掉的酒量就头痛,但静子知道謙信遵守承诺决定不再喝酒并打破“马上杯”作为表决就很高兴。
熾烈を極めた呑み比べであったが、当のみつお本人は一部から「酒神様」と崇められ困惑していた。
在激烈的饮酒比赛中,三夫本人却被一些人尊称为“酒神”,让他感到困惑。
暫定的に天下一の酒豪となったみつおに鶴姫が惚れ直し、顔を合わせる度にみつおが惚気ると、足満は苦々しい表情をして言い捨てた。
暂时成为全天下的酒豪的三夫让鹤姬重新爱上他,每次见面三夫都会沉醉不已,而足满则表现出苦涩的表情。
「仲良きことは美しきかな。さて、ついに出来ましたか、新貨幣」
“众所周知,好事成双。那么,新货币终于完成了。”
静子はお膳に載せられた新貨幣を眺める。金、銀、銅の三貨だ。
静子看着桌上的新货币,包括金、银、铜三种货币。
史実でも信長は三貨制度の構想を持っていたとされるが、貨幣は卑しいものとする価値観が多かったため、後回しとなっていた。
历史上,信长也曾有过三货制度的构想,但由于许多人认为货币是卑鄙的东西,因此被搁置了。
しかし『今の信長』には余力も、新しい価値観を打ち出し、普及させる発信力もあった。
但是,“今天的信长”有余力、有新的价值观并能推广它们。
信長は不換紙幣を時期尚早として諦め、三貨制度を通して金本位制度に舵を切り、やがて兌換貨幣への切り替えを見据えて、新貨幣の運用を開始した。
信长放弃了早期的不可兑换纸币,通过三货制度改向金本位制度,最终开始使用新货币并准备转向可兑换货币。
新制度とは言うものの、取り立てて目新しい物はない。
新制度并没有什么特别之处。
銅貨は流通している永楽銭に似せて鋳造されており、銀貨は四角い板状、金貨は江戸時代に流通していた草鞋形の小判となっていた。
铜币是和正在流通的永乐钱相似的铸造,银币成为四方板状,金币则是像江户时代的草鞋形小判一样的形状。
交換レートを大きく変更すると混乱をきたすため、銅貨1枚を現在の精銭と同価値とし、銀貨1枚を銅貨100枚に定めた。
为了避免混乱,不会大幅改变汇率,定铜币一枚的价值与当前的精铢相同,将一枚银币定为100枚铜币。
そして金貨1枚を銀貨10枚と等しいとし、金貨1枚で1000文、即ち1貫文とした。
将一枚金币定为十枚银币,并将一枚金币定为1000文或1贯文。
それぞれの貨幣の金属混合比は極秘とされ、通貨発行に関与しないため静子も把握していない。全容を把握しているのは信長と、通貨座を統括する職人のみとなる。
每种货币的金属混合比例是极为保密的,静子也不知道与货币发行无关。只有信长和负责统领通货座的手工人知道全部情况。
渡来銭(中国の銭貨)の流通は今も続いているが、日ノ本の通貨を統一するには移行期間が必要だ。
渡来钱(中国的钱币)仍在流通,但需要一个过渡期才能统一日本的货币。
暫くは渡来銭、信長の新貨幣、各国が独自鋳造している領国貨幣の三種類が混在することになるだろう。
暂时将有三种货币混合在一起流通,即渡来钱、信长的新货币和各国领土货币。
信長自身も性急な貨幣移行は経済に影響が出るとして、今後20年を目処に新貨幣に切り替える計画でいた。
鉴于过于急功近利的货币变更会影响经济,信长计划在未来20年内逐步过渡到新货币。
新貨幣の普及は京や堺などの畿内一帯、尾張や美濃などの信長の直轄領内に留まると見込んでおり、日ノ本に於ける通貨制度の刷新を信忠の仕事とした。
预计新货币将在京都、堺等近畿一带以及信长直辖地区如尾张、美濃等普及,信忠被信长委以更新日本货币制度的工作。
兌換紙幣や不換紙幣については、信忠の子孫の課題として長期計画を立てていた。
对于可兑换和不可兑换的纸币,信忠的后代正在制定长期计划。
「来年から税の徴収は、この新貨幣でやり取りされるのか」
“从明年开始,税收将使用这种新货币吗?”
今年の税に関しては今まで通りとし、来年より納税に限り新貨幣のみとされる。鐚銭(びたせん)は尾張と美濃のみ、他に先駆けて今年限りの使用制限とする。
对于今年的税收,将照旧,明年纳税将仅使用新货币。鐚銭(びたせん)仅在尾张和美濃限期使用。
鐚銭や精銭の新貨幣への交換は随時行われているため、信長のお膝元に限れば早い段階で切り替えられると見込んでいた。
对于鐚銭和精銭的换新货币的交换,将随时进行,预计信长的家乡将很快转换。
尾張や美濃を試金石とし、京や堺などの近畿圏は3年を目処として鐚銭駆逐を実施する。それぞれの国が独自に発行している領国貨幣については、5年を目処に使用不可能となる。
以尾张和美濃为试金石,近畿地区如京都和堺等将在3年内实施铜钱驱逐。各国颁布的专有硬币将在5年内无法使用。
これらの制度は朝廷の名で全国に発布され、違反した場合は朝敵として処罰されるという厳しい内容となっていた。
这些制度以朝廷名义在全国发布,违反者将被处以叛逆罪的严厉处罚。
「偽造貨幣である私鋳銭を造れば朝敵となり、使用期限を過ぎた通貨を納税に使えば死罪か。容赦ないねえ。まあ、数年の猶予があるのに両替しないんだから、当然と言えば当然だよね」
“造假币即为叛贼,用过期货币交税将会被判死刑。毫不留情呢。嗯,虽然有数年的缓期,不举行兑换当然也会这样”。
しかし、これらはあくまでも『通貨を使用する』際についての制限事項であり、使用期限を過ぎた通貨を持つこと自体は罪と見做されない。
但是,这些只是针对“使用货币”的限制条款,持有过期货币本身不被视为罪行。
現代でも使用できない通貨、所謂古銭を蒐集するコレクターは数多くいる。
即使在现代,也有许多收集古币、即无法使用的货币的收藏家。
公の場に於いて使用しないのであれば、新貨幣以外を大量に抱え込んでいても問題ない。
只要不在公共场合使用,即使大量收藏非新货币也没有问题。
しかし、移行期間を過ぎれば両替できなくなり、古銭を価値ありと認める好事家の間でしか取引が成り立たなくなる。
但是,过渡期过后,就无法兑换旧货币,只能在认可其价值的收藏家之间进行交易。
「ふーむ。大きな商取引をするには金貨1種類だけじゃ不便だから、銀貨、金貨については数種類用意するよう上様に上申しておくかな」
“嗯。因进行大宗交易只有1种金币不方便,所以应向上级上申并准备数种银币和金币。”
「静子様。真田様がお越しになりました」
“静子。真田先生来访。”
「お通しして」
“请通知他。”
新貨幣を前に予想される問題について思いを巡らせていると、小姓が真田昌幸の来訪を告げた。
在考虑与新货币相关的问题时,随从通知了真田昌幸的到来。
すぐに通すよう静子が命じると、小姓の一人が昌幸を迎えに行き、他は謁見の準備を整える。
静子立即命令通报,其中一名随从前去迎接昌幸,其他人则准备拜见。
二日酔いなのか顔色の優れない慶次や才蔵なども集合して暫くすると、小姓に先導されて真田昌幸と数人の男性が入ってきた。
是不是醉酒了,面色不佳的景次、才藏等人也集合在一起,过了一会儿,跟着小姓先导,真田昌幸和几个男性走了进来。
「ゆっくり休めましたか?」
"休息得还可以吗?"
「過分なご配慮痛み入ります。衰弱していた妻子も、すっかり元気を取り戻しましてございます」
"过度的关照让我感到不好意思。我衰弱的妻子和孩子已经完全恢复了健康。"
静子の問いかけに対して、昌幸は頭を下げたまま答えた。
静子的发问,昌幸低着头回答。
足満が昌幸を連れ帰った直後の状態は、極度の疲労から酷く衰弱しており、食べ物も固形物は受け付けない程に弱っていた。
足满带着昌幸回来时,他的状态极度疲劳,非常虚弱,连固体食物也无法承受。
そんな状態ではまともに会話など出来ようはずもなく、静子は昌幸たちに数日の休養を言い渡していた。
在这种情况下,无法进行正常的对话,静子让昌幸们休息了几天。
「さて、足満から概要は聞き及んでおりますが、確認の意味も込めて改めて伺います。真田家の事情と、ここに至るまでの経緯を出来る限り詳しくお話し下さい」
"好了,我已经听了足满的概述,但为了确认,再详细地谈谈真田家的情况和到达这里的经过。"
「はっ」
"是。"
昌幸は事前に認めておいたのか、一言断ると懐紙を取り出し、それを確認しながら訥々と語り始めた。
昌幸似乎事先认可了这件事,在一句话之后,拿出一张纸条,边确认边开始说话。
まず真田家を取り巻く状況に関して、真田家は昌幸の父に当たる幸隆が健在だが、嫡男の信綱と次兄の昌輝が共に討ち死にしている。
首先是关于真田家的情况,昌幸的父亲幸隆仍健在,但长子信綱和次子昌輝已经共同战死。
そこで三男である昌幸が急遽真田家に復して家督を継いだ。
因此,三儿子昌幸紧急回到真田家,接管了家督。
しかし、既に嫡男の信綱が当主となっていたため、この家督継承は混乱の引き金となった。まず昌幸は武藤家の家督を放棄し、代わりに武藤常昭が後を継いだ。
然而,由于长子信綱已经成为家族的当家,这次家督的转移成为了混乱的导火索。首先,昌幸放弃了武藤家的家督,而由武藤常昭继承。
そして亡き長男・信綱の嫡女(正妻の長女)である清音院を妻に迎え入れた。これによって真田家当主として、嫡流の血筋という正当性を担保しようとした。
然后迎娶了已故长子信綱的长女清音院作为妻子。通过这样做,他试图作为真田家的家主,保证继承正当性和血统。
しかし、ここで問題が発生した。一先ず真田家内の継承問題に区切りをつけた昌幸は、嫡男の信之と彼の母である山手殿を武田家に人質として差し出そうとしていた。
然而,在这里出现了问题。昌幸暂时解决了真田家内的继承问题,准备将嫡子信之和他的母亲山手殿作为人质交给武田家。
その矢先に、昌幸は諏訪勝頼より所領のいくつかについて没収を言い渡された。真田家にとっては青天の霹靂であり、真田家に継承問題が再燃した。
就在那时,昌幸收到了諏訪勝頼没收某些领地的通告。对于真田家来说,这是一个意想不到的打击,继承问题再次引发了争议。
主家である勝頼に昌幸の復姓と家督相続は認められたものの、いきなり領地を没収されるような人間を真田家当主に据え置いて良いのかと家臣達が割れた。
虽然主家勝頼承认昌幸的复姓和继承,但一些家臣认为,不能让一个突然被没收领地的人担任真田家的当主。
更に残された所領についても他より重い税を課せられ、昌幸排斥派の勢いが大きくなっていった。
此外,剩下的领地也被征收了更高的税收,昌幸排斥派的势力越来越大。
この騒動は前(さき)の継承問題よりも長く続き、武田家に対して人質を送るどころではなくなった。
这场骚乱比前面的继承问题还要长,根本没有时间去交人质给武田家了。
昌幸は父の幸隆と話し合い、これ以上の騒動は真田家を断絶に導くと判断した。昌幸が当主である限りは、この騒動は収まらないため、昌幸は自ら進んで身を引くこととした。
昌幸与其父幸隆商量后,认为这场骚乱会导致真田家的灭亡。由于只要昌幸是家主,这场骚乱就无法停止,因此昌幸决定自愿退位。
そこで越後を織田軍が訪ねた際に、昌幸は自身が追い出される形で真田領を後にして越後領を目指し、そこで織田軍と合流して静子の許へ戻ることを計画した。
因此,在越後被織田军访问时,昌幸决定自愿离开真田领地前往越後领地,并与織田军会合,计划回到静子的身边。
用意周到で知られた昌幸が珍しく発作的に行動したため、様々な行き違いが発生した。
由于昌幸总是准备周到,但这次却表现得异常冲动,导致许多误解发生。
当初、昌幸は嫡男の信之を真田領に残し、幸村(諱は信繁が正しいが、混乱を避けるため後世の名である幸村表記とする)のみを連れて出奔しようとした。
当初,昌幸打算把长子信之留在真田领地,并只带着幸村(谥号应为信繁,但为了避免混淆,后续以幸村为表记)逃亡。
真田領を出発してから一行に信之が含まれている事に気付き、完全に真田家を裏切った逃避行として真田家から追手を掛けられることとなった。
出发后,他们发现信之也在行列中,这导致真田家认为他们完全背叛了家族,开始派人追捕。
「なんというか……藪蛇というか、裏目に出ちゃった感がありますね」
“该说是…像草丛里的蛇一样,感觉搞砸了事情。”
経緯を聞いていた静子は、計画性の無さと間の悪さに呆れた。しかし、異例な行動だからこそ、逃げ延びられたとも言える。
听到这一过程,静子感到昌幸缺乏计划性和运气不太佳,但也正是因为行动不寻常,才得以逃脱。
入念に計画して行動する昌幸の性格を知っているだけに、大きく迂回した脱出経路を辿ると予想され、追手の数が少なかったからこそ無事に合流できたのだ。
静子知道昌幸喜欢精心策划行动,因此有理由预计他们会采用迂回路线,而且追兵数量较少,所以才得以无事与幸村会合。
静子は顎に手を当てて、真田家と敵対したことについて考えるが、既に動き出した事態は変えようがない。
静子竖起下巴,考虑自己与真田家的对抗,但已经无法改变已经开始的局面。
昌幸の件については信長にも報告しており、必要な情報を引き出した後は、彼の処遇を静子に一任すると言われていた。
她也向信长报告了昌幸的情况,并被告知在获取必要情报后,昌幸的待遇交由静子处理。
「ご無礼を承知で申し上げる。進言致したき話がございます」
“请原谅我的无礼。我有一些意见要提出。”
彼の処遇について考えていると、昌幸の後ろに控えていた男の一人が進み出た。昌幸が彼の動きを止めようとしたが、静子はそれを手で制した。
在考虑着昌幸的待遇时,一个站在他身后的男人走了出来。昌幸试图制止他,但静子用手制止了他。
「構いません。発言を許します」
"没关系。你可以发言。”
「有り難き幸せ。手違いゆえに殿は手勢を率いておられず、我ら乱破(らっぱ)のみが同道することになり申した。いくさ場にて戦力とは数えられない我らですが、いくさ場以外での陰働きにてお役に立って見せましょう。どうか殿にお慈悲を賜りたく、お願い申し上げる次第」
“非常感谢您的恩惠。由于一个失误,队长未能领导手下士兵,只能加入我们这些乱破一族。虽然我们不能算作是战斗力强大的军队,但我们可以在战场之外做一些工作,以表达我们的贡献。请您施舍我们,非常感谢。”
彼の悲壮な決意を聞いて静子は認識にずれがあることを知った。
听到他悲壮的决意,静子意识到有偏差的认知。
昌幸は身一つで静子の許に参じ、真田家と穏便に袂を分かった後、手勢を招くつもりであったため、彼が引き連れてきたのは僅かな側近と昌幸の目や耳となる大勢の間者だけであった。
昌幸只身前往静子处,与真田家平静地分道扬镳后,他原本计划召集手下,但实际上只带了少部分亲信和为他提供消息的间谍。
戦国時代の常識からすると、彼らは到底戦力として数えられない。お荷物として冷遇されるのではないかと、間者の男は考えたのだろう。大変な誤解だと静子は思っていた。
从战国时代的常识来看,他们根本不能算作战斗力。男性间谍考虑到他们只会被视为累赘和不受待见的,这是一个非常误解的想法,静子认为。
「誤解があるようなので訂正しますが、私は元より貴方たちに戦力を期待していません。他所の流儀に染まった正規兵よりも、柔軟な対応が出来る乱破の方がありがたいぐらいです。私は真田殿の智に期待してお招きしたのです。判断の元となる情報を取ってくる、目や耳である貴方たち乱破を軽んじるはずがありません。私はいくさ場での武功よりも、それまでに如何に情報を得るか、いくさ場に於いてもいち早く情報を得る事を重視しています」
“由于存在误解,我来修正一下。我从一开始就没有对你们寄予战斗力的期望。乱破方案比那些被其他流派束缚的正规兵更为灵活,这是一个很有价值的部分。我邀请真田大人期望的是智慧,以你们发挥观察耳目的能力来作为我的助力。我绝不会轻视乱破,他们的工作是为了收集判断所必须的信息,尤其在战场上获取信息的迅速性也非常重要。”
この考えは静子に限ったものではない。信長の方針が静子や他の家臣たちへ直ちに伝達されるのは、信長自身が情報を重要視しているためだ。
这个想法不仅仅局限在静子身上,信长这样的方针也直接传达给静子和其他家臣,因为信长认为情报非常重要。
彼は街道整備の一環として、各地に『駅』を設けている。
他建立了各种“车站”作为道路整修的一部分。
駅は小規模なものから、宿場町とも言える大規模なものまであるが、一様に交換用の馬と、伝令たちの休憩所、食料や資材を調達できる設備が整えられている。
车站规模从小到可以说是大型宿舍城镇,都提供供休息的马、信鸽和其他必要设备。
伝令がリレー形式で情報を伝達するため、他に類を見ない速さと、秘匿性を持ったまま家臣達に情報が届けられていた。
信使们采用接力方式传递信息,以惊人的速度和保密性将消息传达给家臣们。
これら情報や物流のインフラ整備にも力を入れている事もあり、間者を卑しいものとみる風潮を嫌っていた。
也会致力于信息和物流基础设施的建设,因此不喜欢将间谍看作卑劣的人。
「それを聞いて安堵いたしました」
"听到那个我松了一口气。"
「他所でどのような扱いを受けてきたかは知りません。しかし、心して下さい。情報を重要視するからこそ、それを見極める目は厳しくなります。貴方たちが集めた情報で、我々はいくさの行方を判断します。間違った情報を齎せば、勝てるいくさに負け、勝てぬいくさに身を投じることになるのです。それほどに情報とは『重い』のです」
"我不知道你们在其他地方受到了什么样的对待。但是请注意。正因为重视信息,我们的洞察力变得更加严格。我们将根据你们收集的信息来判断战争的走向。如果带来了错误的信息,我们将输掉可以赢得的战争,投身于无法赢得的战争中。因此,信息是非常‘重要’的。"
静子の言葉に間者の男は驚愕を浮かべる。しかし、静子は気に留めずに言葉を続ける。
静子的话让间谍男子惊讶不已,但静子没有介意继续说下去。
「巷ではいくさの勝敗は頭数のみと考える人もいますが、私のところは違います。精度の高い正確な情報を得られるか否かで、我々の運命は大きく左右されます。決して卑しい仕事などと考えないことです」
"有些人认为战斗胜负只与兵力有关,但我的看法不同。我们的命运将在是否能获得高精确度的信息上得到显著影响。不要认为这是可耻的工作。"
「……はっ、肝に銘じます」
"嗯,我会谨记在心的。"
「あ、それと一つ言っておきますね。情報は量があれば良いと言うものではありません。情報が『ない』という事もまた情報なのです。何故、『ない』と判断したかを添えれば立派な成果として判断します。私が最も恐れることは、『情報の取りこぼし』です。情報が無い時に無理に報告をしようとせず、必要な時に必要な情報を得て下されば結構です。良い情報にはそれに応じた報酬を約束します」
"哦,还有一件事。信息的数量并不是唯一的标准。事实上,‘没有’信息也是一种信息。如果能够说明为什么认为‘没有’信息,那么将视为出色的成果。我最担心的是‘信息丢失’,在没有信息的情况下不要强行汇报,而是在需要的时候获得必要的信息。对于优秀的信息,我会给出相应的报酬承诺。"
「それは……」
"这……"
「信賞必罰。功有るものは必ず賞し、罪過あるものは必ず罰します。何もおかしい話ではないでしょう?」
"奖惩分明。对于优秀的成果给予奖励,对于罪过行为则必须惩罚。这没什么可异议的,对吧?"
それは当たり前ではないと間者の男が口にしかけたが、静子の台詞が男の発言を遮った。間者の男はそれ以上何も言わず、ただ深々と頭を下げた。
间谍男子想要说出这不是理所当然,但被静子的话打断。间谍男子没有再说话,只是深深地低下了头。
「例の物を」
"请将那个交给我。"
話が一段落したところで、静子は小姓に命じて木箱を運ばせた。小姓たちは白木の木箱を昌幸の前に幾つか並べると、一礼して隅に下がった。
话到这一步,静子让侍从抬来一个木箱。侍从们把一些白木箱子放在昌幸前面,行了一个礼后退到角落里。
「何をするにしても資金が必要でしょう。しかし貴方たちは、未だ成果を出していません。故に民からの税で費用を賄うわけにはいきません」
“不管做什么都需要资金。但是您还没有取得任何成果。所以我们不能用民众的税金支付费用。”
そこで言葉を切ると、静子は昌幸に木箱を開けるよう促した。
说到这里,静子让昌幸打开木箱。
昌幸が木箱の一つに手を掛けて蓋を開く。中には隙間なく金子が詰まっていた。途方もない大金が用意されていることに昌幸は驚愕する。
昌幸伸手拿起一个木箱的盖子打开,里面塞满了金子。昌幸对于已经准备好如此巨额的金子感到震惊。
「それ故に、私費で支度金を用意しました。これだけあれば当面の資金に困ることはないでしょう。これ以降は基本的な報酬に加えて、働き次第で成果報酬も出します」
“正因为如此,我用个人的积蓄准备了支出。有这么多钱,暂时不用担心资金问题。不仅如此,只要您认真工作,按照基本酬劳发给您,还会额外发放绩效奖励。”
「格別のご配慮……この昌幸、感謝に堪えませぬ」
“非常谢谢您的体谅。昌幸铭感五内。”
「一つ忠告しますと、他人の金とは思わないことです。人は労せず得たあぶく銭を簡単に浪費してしまいます。これを失えばもう後は無い、命銭だと思って有効に使って下さい」
“我给您一条忠告,切勿视他人财产为己有。人们往往会毫不费力地挣钱,然后轻易地挥霍掉。请珍惜这些钱,认为是命钱,并有效地使用。”
「肝に銘じます」
“我会铭记于心。”
静子の忠言に昌幸は深々と頭を下げて返答した。
静子的忠告,昌幸深深地鞠躬回答。
何をするにしても昌幸はまず、尾張に生活基盤を作るしかない。そう考えた静子は、昌幸に当面の住居を斡旋し、身を落ち着けるよう命じた。
无论做什么,昌幸首先必须在尾州建立生活基础。刚想到这一点,静子已经为昌幸安排好住处,并命令他安定下来。
その身一つで尾張に来たため、生活拠点が整っていない。得てして土地屋敷の取得は、地元の人間の協力なしにはうまくいかない。
他只身前来尾州,没有生活的基地。买地盖房不容易,离不开当地人的帮助。
まずは身を落ち着けて、いつでも動ける態勢を整えるのが彼の初仕事となった。
首先,在安定下来,准备好行动的状态之前,他的首要任务是整理生活。
それから数日空けて、静子は昌幸にとある命令を下した。
然后过了几天,静子下达了某个命令给昌幸。
彼女が命じたのは人集め、それも甲斐出身の中でも竜地(りゅうじ)や団子(だんご)などの甲府盆地にある村出身者、もしくはそれらの村に詳しい者を探させた。
她命令人收集人员,特别是那些来自甲府盆地的村庄,如龙地和团子出身者,或者那些熟悉这些村庄的人。
昌幸は言われるままに、手勢から対象者を選び出したが、集まったのは僅か4名に過ぎなかった。
正如所说,昌幸从手下中挑选了目标人物,但只聚集了四个人。
「『泥かぶれ』という病を知っていますか?」
“你们知道‘泥巴病’吗?”
集められた人間に対して静子が問いかけた時、昌幸を含む全員が何を言いたいのか理解した。
当静子询问被收集的人时,昌幸和其他人都明白了他们想表达什么。
泥かぶれ、後に日本住血(にほんじゅうけつ)吸虫症(きゅうちゅうしょう)と命名される地方病である。
“泥巴病”后来被命名为日本住血吸虫病,是一种地方病。
初期は発熱や下痢などの軽微な症状だが、重症化すると手足がやせ細り、腹が膨れ上がって死ぬ。
初期症状轻微,如发热和腹泻,但严重的患者会导致手脚消瘦,腹部膨胀并最终死亡。
泥かぶれに相当する病気が初めて記載された文献は甲陽軍鑑であり、重症化した小幡(おばた)豊後守(ぶんごのかみ)昌盛(まさもり)が勝頼に暇乞(いとまご)いをした時の様子が書かれている。
描述相关疾病的文件首次出现在《甲阳军鉴》中,描述了一位叫做小幡丰后守昌盛,他患了严重泥巴病向胜顺请假的情况。
これが甲斐に泥かぶれが蔓延していた可能性を示唆する記録であると考えられている。
这意味着泥巴病在甲斐广泛流行的可能性。
この病気がいつから広まったのか不明だが、少なくとも千年以上も昔から流行し続けている疾患と考えられる。巷では「甲府盆地の百姓は泥かぶれで死ぬが定め」とまで言われていた。
虽然不知道这种疾病从何时开始传播,但可以认为它是一种已流行了千年的疾病。这种疾病主要影响农民和佃农,而少有统治者感染。
これは支配者層が殆ど感染せず、百姓や小作人ばかりに罹患が集中していたことに起因する。
因此,当女孩嫁到流行地区的村庄时,他们会被唱着背着棺材出门。
それゆえ流行地である村へ娘が嫁ぐ場合、棺桶を背負わせて送り出せと唄われるほどであった。
据说富士山东麓的住民曾经留下“泥巴病定要死在甲斐盆地种百姓”的说法。
百姓たちも流行地に偏りがあることに気が付いていたが、何が原因で発病するのか皆目見当もついていなかった。
百姓们也注意到流行地存在偏差,但对疾病的发生原因还没有头绪。
この泥かぶれに行政が本格的に取り組み出すのは明治十四年。流行の終息宣言が出されたのは実に平成八年二月十九日である。実に百十五年という長きに亘る挑戦であった。
政府对泥浸病的全面治理始于明治14年。直到平成8年2月19日才宣布疫情结束。这是持续长达115年的挑战。
「腹が膨らんで死ぬ病のことでしょうか?」
"是指肚子肿胀死亡的病吗?"
間者の一人が恐る恐る発言する。静子は一つ頷いて言葉を続けた。
其中一人畏缩地发言,静子点了点头,继续说道。
「その通り。君たちの仕事は、泥かぶれが発生した村をこの地図に書き記すことです」
"没错。你们的工作就是把发生泥浸病的村庄标在这张地图上。"
「それだけで宜しいのですか?」
"只需这样吗?"
「記憶にある限り全て頼みます。予防対策はありますが、未だ甲斐は武田が支配する土地。今は状況を把握する以外に出来ることはありません」
"记得全部,如你所知我们已经有预防措施了。虽然奈何武田领土还未生效。现在我们唯一能做的就是掌握局势。"
静子が『予防対策がある』と口にした瞬間、4名のうち1人が目を見開いた。
静子提到“预防措施时”,其中一个人瞪大了眼睛。
「防げるのですか!?」
"可以预防吗?"
「発病すれば治せませんが、何に気を付ければ避けられるかを知っています。南蛮でも同様の病気があり、そこで一定の効果を上げた対応策がありますので」
"如果感染了,就无法治愈了。但是,我知道如何避免感染。南蛮地区也存在类似疾病,那里采取了一定的应对措施,取得了一定的效果。"
無論、静子は現代の知識で感染源も対策方法も知っている。しかし、彼らにそれを教えても意味がない。
当然,静子已经知道了感染源和预防措施等现代知识。但是,教给他们没有意义。
静子の取れる対策とは感染源から遠ざかることであり、感染源を根絶する事ではないため、生活をする上で感染源に接触せざるを得ない彼らに教えても対策のしようがないためだ。
静子采取的应对措施是远离感染源,而不是根除感染源,因此对于必须接触感染源以生存的他们来说,无论教什么样的措施都是没有用的。
泥かぶれは寄生虫症であり、汚染された水などに接触することにより感染する。
泥浸病是一种寄生虫病,通过接触受到污染的水等方式感染。
日本住血吸虫の幼生であるセルカリアは、水中に潜み終宿主である哺乳類と接触すると、その皮膚を食い破って体内に侵入し繁殖する。
日本住血吸虫的幼虫丝虫藏匿在水中,当它们接触到最终宿主——哺乳动物时,会咬破它们的皮肤侵入体内并繁殖。
このセルカリアは非常に小さく、目視では確認できない。このため根絶対策の為に取られた施策は、日本住血吸虫の中間宿主であるミヤイリガイの絶滅であった。
丝虫非常微小,肉眼无法看到。因此,为了根除它,人们采取的措施是灭绝中间宿主——宫泉螺。
日本住血吸虫の中間宿主はミヤイリガイでなくてはならず、他の淡水産巻き貝類には寄生出来ない。
日本住血吸虫的中间宿主必须是宫泉螺,不能寄生于其他淡水螺类。
日本住血吸虫の生活史は、糞便を通して水中に放たれた虫卵が孵化し、ミラシジウムとなる。このミラシジウムがミヤイリガイと接触し、この巻き貝の体内でセルカリアに成長する。
日本住血吸虫的生命周期是,虫卵通过粪便放入水中,孵化成为蚴。这些蚴接触到宫泉螺并在螺体内成长为丝虫。
セルカリアはミヤイリガイを脱して水中へ移行し、水に接触した哺乳類へと経皮感染を行う。
丝虫离开宫泉螺转移到水中,并通过经皮感染侵染水中哺乳动物。
哺乳類に感染したセルカリアは成虫である日本住血吸虫となり、その名の通り血管内部で1日に3000個もの産卵を行う。
感染哺乳动物的丝虫成长为成年的日本住血吸虫,这种吸虫在血管内每天产下3000个卵。
これが糞便を経由して再び外に排出され、雨などを通して水中へと戻るライフサイクルを取る。
这些卵通过排泄物排出体外,经过雨水等方式再次进入水中的生命周期。
この生活史に於いて、人類にとっての感染源となるのはミヤイリガイに寄生出来た場合のみであり、ミヤイリガイを根絶出来れば日本住血吸虫も駆逐できる。
在这个生命周期中,当宫泉螺被寄生时,才会成为人类的感染源。如果根除宫泉螺,则可以消灭日本住血吸虫。
しかし、ミヤイリガイ自体が繁殖力旺盛であり、水中に留まらず陸上でも生活できることから根絶は困難を極める。
然而,宫泉螺本身繁殖能力强,不仅停留在水中,也可以在陆地生存,因此根除非常困难。
実際に、流行地からミヤイリガイを駆逐するまでに70年もの月日を要している。
实际上,要根除宫泉螺,需要花费70年以上的时间。
余談だが日本住血吸虫には、終宿主である哺乳類に寄生するまでに厳しいタイムリミットが存在する。
顺便说一下,日本住血吸虫在寄生于哺乳动物的终极宿主前存在着严格的时限。
卵から孵化したミラシジウムは18時間以内にミヤイリガイへ、幼虫のセルカリアは48時間以内に終宿主に寄生できないと死んでしまう。
从卵孵化的幼虫最多只有18个小时可以进入它的中间宿主,细菌的幼虫必须在48小时内进入终极宿主,否则会死亡。
これは如何なる環境でも同様の結果となり、ミラシジウムの段階では人に感染する事が出来ない。このためミヤイリガイさえ絶滅できれば、日本住血吸虫の虫卵がどれ程残っていようとも、人類にとって脅威となり得ない。
不论在任何环境中,幼虫阶段都不可能感染人体。只要能够消灭它的中间宿主——宫泉螺,无论日本住血吸虫的虫卵存不存在都不会对人类构成威胁。
「そう……ですか」
"是的......"
何か思うところがあったのか、間者は顔を手で覆って涙を流した。近くにいた別の間者が彼の肩に手を置いて慰める。
中间人用手掩住脸,并流泪了。另一个中间人把他的手放在他的肩膀上安慰他。
「申し訳ございませぬ。彼の妹は泥かぶれで命を落としましたので……」
"真是对不起。他的妹妹因为沾上泥巴而失去了生命......"
「それは残念です。しかし、彼の妹のような被害者を出さないためにも、この仕事に真剣に取り組んで欲しい。覚えている限りで構いません。感染者を出した村に印をつけて下さい。私の考えが正しければ、特定の河川流域に集中しているはずです」
"这真是遗憾。但是,为了不出现像他的妹妹这样的受害者,请认真对待这份工作。请记住所有感染者所在的村庄。如果我的想法正确的话,应该是集中在特定的河流流域中。”
「ははっ!」
"哈哈!"
間者たちは深く頭を下げ、4人が寄り添うようにして地図を片手に部屋を後にした。一緒に退出しようとした昌幸だったが、静子がそれに制止を掛けた。
间谍们低下了头,手持地图并肩离开了房间。昌幸想与他们一起离开,但是静子制止了他。
「……暫く東国の情報収集をお願いします。特に武田の動向については詳細に願います。検地や商工業への関与、富国に繋がる情報を重点的に集めて下さい」
"......请暂时收集东国的信息。特别是关于武田的动向,请尽可能详细地搜集。请重点收集土地测量、商业和工业以及富国等相关信息。
「はっ! 承知しました。しかし、今の武田にかつての栄光は取り戻せぬかと思いまする。それほどの人員を割く必要が無いかと愚考します」
"是的!我知道了。但我不认为现在的武田可以重振昔日的辉煌。我认为不需要派那么多人来。
「いいえ、今の武田は窮鼠(きゅうそ)です」
"不,现在的武田是走投无路的老鼠。"
静子は昌幸の言葉を明確に否定してみせた。武田信玄に黒星を付けた静子が、そこまで断言することに昌幸は驚いた。
静子明确地否定了昌幸的话。静子给武田信玄带来黑暗的人,竟然如此坚定地断言,让昌幸感到惊讶。
「我々は勝利を得るために準備を整え、勝てる場所へと誘い込み、相手の実力を封じる形で勝利しました。相手の土俵で勝利した訳ではありません。追い詰められ、残された領土を守るため必死になった鼠は、猫にさえ牙を剥きます。油断して侮れば手痛い一撃を喰らうことになるでしょう」
"我们为了获胜做好了准备,把对手引到能够取胜的地方,通过封锁对手的实力来获胜。我们不是在对手的屋檐下获胜的。那些为了守住剩下的领土而拼死抵抗的老鼠,即使对猫也会咬牙切齿。如果大意轻视他们,会遭受到沉重打击。"
静子の言葉に昌幸は思うところがあった。誰しも自分の安住の土地を奪わんとされれば、死に物狂いで抵抗する。そこに勝てる勝てないの勝算は関係ない。
静子的话让昌幸深感压力。任何人在自己的土地要被抢走时都会拼死抵抗。这与能否取胜无关。
「追い詰められた人間は、短期的には常人を凌駕します。本拠地だけとなった武田には後がありません。腹が据わってしまえば、甲斐の精兵は脅威です。再び力を取り戻さぬよう、弱り切ったところを見極めるためにも、徹底した情報収集が必要になるのです」
"被逼上梁山的人短时间内会超越普通人。现在武田只剩下基地了,他们会被逼到走投无路。如果他们稳住了站立,则甲斐的精锐将是一支威胁。我们需要彻底收集信息,以便找到他们羸弱的地方。"
「目から鱗が落ち申した。必ずやご期待に応えてみせましょう」
"我现在豁然开朗了,一定会不辜负您的期望。"
「よろしく頼みます。話は変わりますが、子供は元気になりましたか?」
"拜托了,话题到此为止。孩子们身体好了吗?"
突然の話題転換に戸惑う昌幸だが、静子に他意が無いと知ると笑みを浮かべて答えた。
昌幸在突然的话题转换中有些困惑,但是看到静子毫无别的目的,他露出了微笑。
「元気過ぎて手に余ります」
"太健康了,我忙不过来。"
「それは重畳。私の見立てでは、二人とも猛将となりますよ。惜しむらくは、我々や貴方の働き如何によって、泰平の世となれば活躍の場がなくなることでしょうか」
"真是太好了。在我看来,两人都是猛将。可惜的是,根据我们和您的工作情况,到了太平盛世就没有用武之地了吧。"
「確かに言えますな。せめて10年、いや5年早く生まれておれば、お役に立てたやも知れませぬ」
"确实。至少早出生10年,不,5年的话,也许会有帮助."
「しかし、武家の男が軟弱ではいけません。いずれ時期を見て鍛錬に参加させましょう」
"但是,武家男人不能软弱。找个时机让他们参加锻炼吧"
「心得ております」
"我知道。"
静子の言葉に昌幸は人の好い笑みを浮かべて言った。
听了静子的话,昌幸露出亲切的笑容。